研修会 - 2014年度

「第19回全国大学ゴルフ指導者研修会開催される」

 去る3月1日〜3日にかけて第19回全国大学ゴルフ指導者研修会が千葉県市原市のオークビレッジゴルフクラブにて開催された。まずは、本研修会が全国大学体育連合の助成を頂き、全国大学体育連合との共催のもと、充実した研修会が開催できたことを報告し、御礼を申し上げたい。

 本研修会開催に当たって、全国大学体育連合より助成を頂くと共に当連合会のホームページで開催のお知らせをして頂いたことにより、全国から多くの新規参加者に参加して頂くと共に、主催の全国大学ゴルフ指導者研究会の新規会員になって頂くなど、研修会のみならず、更なる組織の充実が図れたことは大きな副産物であった。

 本研修会の目的は、「大学におけるゴルフ教育の充実と発展に寄与するため、ゴルフ技術、理論、指導法について研究討議を行い、技術力と指導力の向上を図る」ことである。今回の実技研修内容は、「初心者に対する指導法」「レベルアップ練習とショート・ゲーム技術研修」及び「コースでの課題別・実践研修」と「コースでの総合技術の向上とコースマネージメント」であった。また、夜は講義及び情報交換の時間に当てられ、月刊「ゴルフクラシック」元編集長の角田陽一氏を講師にお招きし「世界と日本のゴルフ界の現状」についてご講義を頂いた。

 大学におけるゴルフ授業は、学内における打撃練習のみの授業から、本コースにおける宿泊型の集中授業と多岐に渡る。また、指導者においても大学時代にゴルフ部に所属していた教員もいれば、大学に就職してから授業に伴いはじめてゴルフに接する教員と様々なレベルの指導者が存在する。特に、体育・スポーツ系学部を有する大学においては、自分の専門に終始することが出来るが、一般体育を担当する多くの教員は、自分の専門種目にとどまらず、大学の施設の状況、学生及び社会的ニーズから種目を設定することになり、新たに技術、知識を習得、向上させる必要に迫られ、多くの時間を割いて授業研究をすることが求められる。この様な中で、本研究会は現場の要望に応え、現場で生きる実践的な技術、知識の習得を目指した研修会を開催している。

 第一日目の研修は、比嘉強プロ(オークビレッジゴルフクラブ所属)によるゴルフ場併設打撃場でのレッスンであった。雨天と言う大変なコンディションの中でのレッスンであったが、参加者の技術習得に対する意欲は、吹き込む雨の存在を忘れさせるほどの勢いであり、プロからの初心者指導における注意点を一言も聞き漏らすまいとする真剣な眼差しと共に雨の中においてさえ真剣にメモを取る参加者の姿が見られた。また、参加者に対する個別のレッスンは非常に好評であり、的確な指摘によってすぐに結果につながる喜びは研修会参加の満足感を高め、プロにコメントを求める多くの参加者の姿があった。動画を使ったフォームの指導もなされ、自分のスウィングフォームを見ながらの指摘は、修正点が理解しやすく、何をどうすることが必要なのかと言うポイントの指摘と共に効率的な技術習得につながり、好評であった。この様な動画を用いてのフィードバックの定着は、授業現場で大いに活用できるものでもあり、今後の現場での更なる定着の必要性を感じさせた。

夜は、懇親会が開催され、普段なかなか学会ではお会いできない先生方と交流する良い機会となっていた。また、食堂での懇親会の後、スリーベッドルームの特別室において引き続き懇親会が開かれたが、そこでもスウィングにおける議論が交わされた。更に、高崎商科大学の鈴木先生が開発に携わった室内での打撃練習マシーンが持ち込まれ、若手参加者を中心に部屋の中での打撃練習マシーンの体験会が開催された。飲みながら食べながらのアットホームな雰囲気の中での特別講習の開催となった。

 この様な宿泊型の研修においては、一日どっぷりと一つの種目、課題に浸り、昼間の研修時には聞くことが出来なかった疑問、また、日常及び昼間の研修時に抱いた疑問を率直に出し合い、指導、コメントを頂く時間を楽しく取れるのがこの夜の時間でもある。時間が過ぎるのも忘れて語り合いながら、明日の研修を楽しみに名残惜しみながら各部屋へ戻る後ろ姿が思い出される。

 二日目は、イン、アウトコースに分かれ、大澤先生と鈴木先生による各組3ホールずつのラウンドレッスンが行われた。「どこを狙って打てば良いか」「どこに落とそうとしているか」「どのようなボールで寄せようとしているか」「どのようにコースを読むか、読んでいるか」などなどのコースに仕掛けられた錯覚現象に対する対処の仕方、考え方などから、それによって起こる自分では気づかないアドレス、方向性等に対する指摘を頂くなど、その状況に応じた様々な個別指導が行われた。「的確なワンポイントレッスンがスイング、アドレスの修正に有用であった」「コースの状況を見ながらプレーすることの大切さを学んだ」との声に見られるように練習場では習得できない気づきを多く頂いた。

 夜には、角田氏の講義及び各大学で行われている授業の情報交換が行われた。角田氏の講義では、世界と日本を比較するデータから「AON」がどうして優れていたのかを心技体の側面から、また、日本人選手の停滞原因を道具および育成システムとの関係から、またプロゴルフ強国としての韓国を例にその育成制度について解説を頂いた。最後に学生に対するゴルフ教育について「明日はもっと強くなれる」ことを考えさせるテーマ設定の大切さ、心技体のトータルな鍛錬の必要性に加えて、軸の形成等のスキル面、及びコースを楽しく回ることの大切さ等について学生教育につながる有益な内容を多々提供して頂いた。また、多くの著書を参加者にプレゼントして頂いた。

 三日目は、「実戦による打撃技術の総合研修、コースマネージメント研修」がテーマであった。キャディーさんにコースの状況、ポイントについてアドバイスをもらいながらのラウンドプレーを行った。コースを熟知したキャディーさんの示唆をもとに、距離の出し方、ねらいどころ、刻み方、ボールの転がり具合等、一つとして同じ状況がない中で、如何に正しく状況を把握し、先を読み、計算をしながら正しい選択と決断によってプレーをすることが結果につながるかを意識しながらコースマネージメントについて実践的に学んだ。

 特に最近の傾向として若手であるほど研究を優先せざるを得ない状況があり、実技がおろそかになりつつある。また、授業以外に研究、学内業務、社会的活動に追われる大学教員にとってコースに出てラウンドプレーをする機会を確保するのはなかなか難しい。その様な中で、欠かすことが出来ないコースにおけるラウンドプレーの機会を提供し、打撃場では得られない様々に異なる自然状況の中で、如何にそれを読み解き、そこにある課題を解決するかの実践的研修は必須のものである。この様な研修によって,正確にボールを打つと言う技術を身体操作の面から思考することに止まらず、「自然」と「自分」を相手に、如何にしてその状況を読み解き、解決策を見つけ対応して行くかを併せてレクチャーしてゆくことが、コースラウンド型の授業の有用性と質の高い実技講義への提供となる。

 今回参加いただいた方々からは、他大学との教員、ゴルフを担当している教員との交流及び情報交換が出来たことが有益であったと言う多数のコメントと共に更なる授業交流を望む意見も寄せられた。また、プロ、角田氏等、ゴルフのスペシャリストとの接点がもてたり、指導を頂けた事が有益だったとする意見、ラウンドレッスン及びコースマネージメントがとても有益だったとする意見を多数頂いた。

 今回の会場はプロのトーナメントでも使われるような難しいコースでもあったことから、初心者、初級者でも楽しめるようなコースの選定を望む意見も頂いた。

 総じて参加者の満足度は高く、次回も参加したいとのコメントが多く寄せられた。今後、今回出された意見を尊重し、より現場に生かせる、参加者の満足度を高められるような研修会を開催してゆきたいと考えている。

 改めて、遠くからお忙しい中、わざわざ本研修会に参加してくださった先生方に感謝を申し上げると共に本研修会を開催するにあたって助成を頂いた全国大学体育連合に衷心より感謝を申し上げたい。

(文責 中島弘毅)

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